席を変えれば、景色も変わる
神戸に来ると、いつものように足が向かうバーがある。このバーは、ジンの品揃えが豊富だ。今日は、いつもとは違う席に座った。視界には、見慣れないラベルのジンが並んでいる。
まず、目にとまったジンは、シラーズと書かれたもの。オーストラリアワインのシラーズのこと?と思ったら、やはりそうだった。シラーズを使ったジンらしい。人によっては好みが分かれるらしいが、私はすんなりと飲めた。
このジンを楽しんでいた私に、マスターがニュージーランドのワインを使ったジンを勧めてきた。白ワインのソーヴィニヨン・ブランを思わせる香り。グレープフルーツやハーブのようなアロマが広がる。これまたおいしい。
馴染みのお店だが、違う席に座ったことで、違う味わいを楽しむことができた。同じ場所でも、座る席が変われば、世界も変わる。そんなことを改めて感じた。

別の日、神戸三宮の雑居ビルにある、シェリー専門のバーを訪れた。ビルの外観からは想像できない、和の雰囲気。女性のマスターが一人で切り盛りしている。
シェリーは詳しくないが、先日、和歌山のバーでいただいたものが、印象的で掘り下げたくなった。一杯目は、初めて目にするペールクリームというタイプのシェリーを一杯。

度数は17度、日本酒の原酒並みだ。甘口タイプのシェリーだが、しっかりと酸があり、度数を感じず、飲み疲れしない。白ワイン好きな私が好む味わいだった。 マスターによると、ペールクリームタイプのシェリーは、日本に輸入される種類が少ないらしい。
和歌山のバーで印象に残ったクリーム、モスカテルというタイプのシェリーもいただいた。これらも甘口のタイプだが、やはり酸が効いていて、心地よいバランス。これも17度あるが、その度数を感じさせない。素直にうまいと感心する。
この店で出されたシェリーは、どれも自分好みだった。マスターがそういう選び方をしているのだろう。どうやら私はかなり気に入ってしまったようだ。

神戸には、深夜まで開いているラーメン屋が点在している。飲んだ帰りに、つい立ち寄ってしまう。田舎で暮らしていると、夜中に何かを食べることなど、まずない。旅先くらいは、こういう楽しみがあってもいいだろう。
翌日。ホテルの部屋で仕事して夕方には飲みに出るつもりだったが、なかなか片付かず、気がつくと20時過ぎになっていた。ノートパソコンをたたみ、元町のビアバーへ向かう。
ここは照明のおかげで、料理もビールも美味しく見える。見えるだけでなく鮮度もいい。何度か来ている店だが、今回も満足した。

そのあと、一眼カメラを持って夜の街を撮り歩く。日中は、たくさんの人で賑わう元町・中華街も夜は静かだ。それでいて、雰囲気がある。


旧居留地周辺も、夜は静かだが、雰囲気のある写真が撮れるスポットだ。


写真を撮影後、三宮方面へ向かった。すっかり醉いが醒め、二軒バーを巡った。最後のバーでは、話し込んでしまい、ホテルに戻ったときには、0時を回っていた。久しぶりに、時間を忘れて、ただ話すことが楽しい夜だった。
こうして、今回の神戸の夜は終わった。
