私は十年前から、ワイシャツをオーダーメイドしている。思えば、これがジャケットやトラウザーズをテーラーメイドする布石だった。

クラシックな装いのなかで、ワイシャツはもっともオーダーメイドの恩恵を感じられる衣類だと思う。一番、肌に近いものだからだ。

首周り、袖丈、着丈、胸周り、胴回り、カフス幅——それらすべてに満足のいく既製品は、まず見つからない。既製のワイシャツには、もう戻れない。

ジャケットやトラウザーズは店頭でオーダーしているが、ワイシャツだけは毎回オンラインサイトで注文している。

シャツは、一度寸法を決めてしまえば手間がかからない。同じメーカーであれば、同じ数値を入力するだけで、毎回同じ寸法で仕上がる。そもそもオンラインサイトには前回の寸法が記録されており、再入力の必要もない。

生地の色味は、実物を手に取るまでわからないというリスクがある。ジャケットやトラウザーズを仕立てるときは、生地見本を店頭で確認し、テーラーと仕上がりのイメージに齟齬がないかを確かめる。

だが、私の場合、ワイシャツで選ぶ色や生地はあらかじめ決まっている。だから、オンラインでも迷うことはない。

コットンなら、無地のサックスブルー、淡いピンク、白と青のストライプ——いずれもクラシックな装いの定番だ。織りの種類もいろいろ試してみたが、今はほぼピンオックスだ。どんなジャケットにも合わせやすい。

夏はリネンのシャツを着る。こちらも選ぶ色は限られる。無地のサックスブルーかピンク。リネンは発色がよく、見栄えがする。だから柄はなくてもよいと考えている。

そうした理由から、ワイシャツに関してはオンラインオーダーで十分だと私は考えている。欲しくなったときに、手間なく注文できる。ただしオーダーメイドなので、届くまでには数週間を要する。

私がオーダーしているのは、鎌倉シャツと土井縫工所(どいほうこうしょ)だ。どちらも自社工場で縫製している。

鎌倉シャツは知名度も高く、いまさら詳しく述べる必要もないだろう。生地の品揃えも豊富で、縫製も丁寧だ。

土井縫工所は、あまり名は知られていないかもしれない。だが縫製は丁寧で、鎌倉シャツとはまた違った美しさがあるように感じている。それを的確に言語化することはできないが、素人なりに見て取れる点もある。

たとえば、糸の色が生地にきちんと揃えられていること。ステッチの圧が柔らかく、少し離れて見ると縫い目が目立たないこと。とくに裏前立で仕立てると、その美しさが際立つ。

ただし、鎌倉シャツと比べると、生地の選択肢は限られている。そのため、無地のサックスブルーなど定番生地を注文する際に、土井縫工所を選んでいる。

https://storage.googleapis.com/contents.slowerjapan.blog/photos%2Fgen%2Fd43e4d6e-828b-4ff5-bb49-3aaab6098a28-1152.jpg

既製のワイシャツに、少しでも着心地の違和感を覚えているなら、一度メイド・イン・ジャパンのオーダーメイドシャツを試してみてほしい。ジャケットやトラウザーズよりも手頃な価格で始められ、テーラーメイドの入口としても、ちょうどいい選択だと思う。