バー通いをするようになって久しい。しかし、案外、クラシックカクテルにきちんと向き合ってこなかったように思う。
酸味が控えめで、甘さの分かりやすいカクテルをよく飲んでいた。その後、ワインに傾倒し、カクテルからはしばらく距離を置いていた。
やがて再びカクテルを飲むようになった。旅先でバーに立ち寄り、街のことを聞くのが習慣になったからだ。
当初は、旬のフルーツを使ったカクテルから始まり、ウィスキーやジンのソーダ割を挟み、締めに甘めのカクテル。この流れが定番だった。
だが最近は、マルガリータ、ホワイトレディ、ダイキリのいずれかを、ほぼ必ず注文している。
マルガリータに注目したのは、旅先のとあるバーでテキーラの話をしたのがきっかけだった。正直なところ、テキーラは私の嗜好には合わない酒だ。それでも話の流れで、久しぶりにマルガリータを注文した。
テキーラの個性を感じさせながらも、素直に美味しいと思えた。それ以来、旅先でもよく飲むようになった。使うテキーラの違い、ライムジュースやコアントローの分量、シェイクによって個性が出るカクテルだということも知った。
この少し前からジンにも興味が湧き、バーであれこれ試すようになっていた。その流れで、ホワイトレディもよく注文するようになった。これもまた、店ごとの個性がはっきりと現れるカクテルだと感じる。
とあるバーで、日本のジンを使ったホワイトレディを飲んだ。アロマティックな香りが印象的で、以来、その店ではホワイトレディから始めるのが定番になりつつある。
ダイキリは、沖縄へ行くとラムを飲みたくなるため、その延長で頼むようになった。いまでは沖縄以外でも、よく注文する。
ダイキリもレシピの配分によって味わいが大きく変わる。ラムかライムジュースか、どちらかが前面に出ることが多いが、先日飲んだ一杯はどちらも突出せず、中庸でまろやかだった。温度が上がっても崩れず、静かに余韻が残った。
いずれも定番のクラシックカクテルだが、その奥行きには、いまさらながら魅了されている。あの頃には分からなかった奥深さだ。

