2025年7月下旬。初めて青森の地を踏んだ。向かった先は、八戸。
八戸駅に新幹線は停まるが、町の中心は二つ先の本八戸駅の周辺にある。事前にそれを調べておき、宿もその界隈に取った。繁華街に泊まる方が、夜の飲食を楽しめる。
街並みは、よくある地方都市の風景だ。祭りの山車が展示されている以外に、観光地然とした飾り気はない。ただ、飲食店の数が目についた。その時点で、食を楽しむ旅になるだろうと察した。
みろく横丁で味わう地の酒と肴
夜は、みろく横丁へ。十数軒の小さな店が軒を連ねる、通りの短い横丁だ。観光客と地元客が肩を並べ、どの店先にも熱がこもっていた。

まずは、八戸ワインを扱うワインバーへ。八戸ワイナリーは、まだ若い醸造所のようだったが、どの銘柄も素直にうまいと感じた。
次に、紹介された居酒屋を訪ねる。お通しの漬けマグロ、津軽海峡で育った海峡サーモン、八戸鞠姫牛。どれも新鮮で、盛りつけも美しかった。
別の店では、郷土料理のせんべい汁を味わった。鍋に入れるせんべいは最初は固く、柔らかくなるのを待たねばならなかった。そのあいだ、八戸の地酒を味わった。
八戸のカクテルバーにて
夜の締めに、バーを二軒はしごした。どちらも気張りのある接客で、カクテルには確かな腕が感じられた。
リンゴジュースと日本酒を使った和のカクテル
二軒目では、最近必ず飲むマルガリータを注文。満足の一杯
どの店の人も気さくで、過ごしやすかった。観光客慣れしているというより、この街の人たちの気質のように感じられた。
港町を歩き、八戸の食を探る
朝は、港近くの人気店でヒラメの漬け丼。タレは控えめで、熟成された身の旨味を邪魔しない。こういう加減がうれしい。
その後、魚菜小売市場を訪れた。各店を回って惣菜を選び、朝食を組み立てる。ウニとイクラ、そして初めて口にした蒸しウニ。朝から過ぎるほどのごちそうだった。
日曜の朝には、館鼻岸壁朝市にも足を運んだ。漁港沿いに屋台がずらりと並び、かなりの人出だった。ここでも青森の食を堪能した。

新鮮なハーブを使ったハーブサイダー
八戸のにんじん農家のにんじんジュース

八戸に着いたとき、「この街は食を楽しめる」という直感があった。その感覚は、まちがっていなかった。
後編へ続く。