前回の記事では、紆余曲折の末にKUOEの腕時計を購入した話を書いた。クォーツ式ながら外観はクラシックで、ケース径も伝統的な35mmである。

以前、YouTubeでとあるテーラーが「スーツスタイルに合わせるなら、文字盤がシンプルな35mmの腕時計を着けてほしい」と話しているのを見たことがある。そのときは、「35mmは小さすぎるのではないか、しかも文字盤がありふれたシンプルなものでは、時間を確認しても気分が上がらないのではないか」と思った。

私は時間を気にする性格で、腕時計を見る回数も多い。カジュアルな装いでは、文字盤にグラデーションのあるG-SHOCKを着けている。決して高価な時計ではないが、時間を確認するたびに、その文字盤の美しさに目が留まる。

https://storage.googleapis.com/contents.slowerjapan.blog/photos%2Fgen%2Fb385f586-eefe-4222-8832-5ee7d6d54dc4-1440.jpg

しかし、クラシックスタイルにG-SHOCKは合わせにくい。かといって、小ぶりで装飾の少ない時計にも、当初は抵抗があった。そうしてクラシックスタイルの腕時計選びに迷走した経緯は、前回の記事で触れた通りである。

KUOEの35mmの腕時計を手に入れてしばらく経つが、いまではこのサイズ感こそが、クラシックスタイルに最もよく馴染むのではないかと思うようになった。少なくとも私にとって、クラシックスタイルとは引き算の美学なのだ。

G-SHOCKの定番であるスクエア型モデルのケース幅は、42〜43mm程度である。そう認識すると、40mmはクラシックスタイルにはやや大きく、カジュアル寄りではないか。そう考えるようになり、くだんのテーラーの言葉が、今になって腑に落ちた。

最初に買ったKUOEのクォーツ式
最初に買ったKUOEのクォーツ式

あれこれ物色する中で気づいたのは、35mmで、かつクラシックな意匠を持つ腕時計が、現代ではほとんど絶滅危惧種に近い存在だということだ。スイスの老舗時計メーカーでさえ、主力は40mm前後のサイズである。

そうした状況を踏まえると、KUOEの商品展開は現代において希少なものだと改めて感じる。おそらく、そのような隙間に需要があると判断し、ブランドが立ち上げられたのだろう。実際、海外のユーザーを中心に、一定の評価を得ているようだ。

クラシックスタイルの装いは、できるだけ国産品で揃えたいと考えている私にとって、KUOEが国産の腕時計ブランドであることも、素直にうれしい点だ。

先日、KUOEの腕時計をもう一本購入した。黒のレザーベルトに銀ベゼル、黒文字盤、金色のインデックス。前回購入した茶ベルト、金ベゼル、緑文字盤、金インデックスのモデルとは対照的で、使い分けがしやすい。そして今回は、クォーツではなく機械式を選んだ。

何十年ぶりかに、腕時計のぜんまいを巻いた。自分の手で時間を動かすという行為。これまで実用性の面から敬遠してきたが、機械式に惹かれる人たちの気持ちが、少しだけわかった気がしている。

二本目に購入したKUOEの機械式
二本目に購入したKUOEの機械式